今大阪の国立国際美術館で開催している「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグューン美術館展」に行ってきました。
(東京展はすでに終了し、大阪展は5月21日までです)
昨年展覧会開催を知ってから、このピカソの絵が早く見たいと気になっていました。
なのでこの絵が飾ってある展示室に入ったら、ついに!!とソワソワしてくる感じが・・・
これまで写真やパソコンで何度も見て自分なりに色々と想像していましたが、実物は全く別物でした。
それは当然のことなのですが、何より色が全然違ったことに驚いた。
緑のマニキュアが印象的な絵ですが、背景全体も緑がかっていて何とも言えない美しい色でした。
ピカソは色使いが本当に上手いなぁ。
しかも色々と考えているというよりはさらっとやってのけるイメージがあって、やはりこれが天才ということなのでしょうか。
今日のメールレターは、展覧会の感想レポートです。
20世紀を代表する4人の芸術家、ピカソ、マティス、クレーにジャコメッティの作品を中心に集めた1人のアートコレクターが、彼らの作品をつなげることで20世紀のアートの姿をこれでもかと見せてくれる展覧会。
「どんな展覧会だった?」
ともし聞かれて真面目に書くとこんな感じですが、私の素直な感想は、大人ももっと新しいことに挑戦していこうよ!と感じさせてくれる展覧会だったということです。
ピカソの有名な言葉に、
子供は誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかである。
がありますが、彼は自分の言葉を人生で体現して見せてくれているなと感じます。
子供って毎日新しいことを覚え、色々なことに挑戦していますが、大人になると毎日同じこと繰り返しているなと。
ピカソの作品の移り変わりは彼の常に新しいことへの情熱の表れです。
そのことに強く感化されました。
まだご覧になっていない方はぜひ行かれることをオススメします。
コレクター、ハインツ・ベルクグリューン
並べられた小さな冊子、これ何だと思いますか?
大きさは縦22cmで横11.5cm。
美しいでしょ?
今回の展覧会の作品は、ベルリン国立ベルクグリューン美術館からやってきた画商であるベルクグリューンが集めた作品です。
美しい冊子は、彼が運営していた画廊で開かれていた展覧会のカタログなんですよ。
とても綺麗だったので友人に写真を見せたところ、
「版画でも、ピカソはピカソですね😳」と言う感想が返ってきました(笑)
本当にそうなんですよね。何を作ってもその人の個性が思いっきり出ている。
ピカソだけじゃなく、クレーもマティスもそう。
この貴重なカタログは展覧会の始まりに強くそのことを感じさせてくれます。
ピカソの作品の変化に改めて驚く・・
印象に残ったピカソの作品を少しだけですが年代順に並べてみました。
薔薇色の時代の作品から
キュビズムの時代
エッチングの作品も
第二次世界大戦開始直後の不安定な時期の作品
89歳になった闘牛士がモティーフとなった作品
162cmも高さのある大きな作品です。
コレクターとして友人としてのピカソとベルクグリューンの関係
「眠る男」と言う墨の濃淡で描かれた絵は、ハインツ・ベルクグリューン(1914ー2007)が初めて手に入れたピカソの作品です。
1952年、詩人のポール・エリュアールのパリのアパルトマンで購入。
初め提示された金額は高すぎて諦めようとしたところ、パウル・クレーの水彩画もつけるからどうだ?と言われたのだとか。(すごい話ですね・・)
さすがに断ることはできず購入。
数日後別の画商にクレーの絵が、エリュアールに支払った金額で売れたのだそうです。
「眠る男」は数年後に奥さんの贈り物となりずっと手元に置いておく絵になった。
自分のために買った初めてのピカソの絵で、ピカソとの出会いはベルクグリューンのコレクターとしての人生に大きな影響を与えることになったわけなのです。
▼その一つのエピソードをこの絵が語ってくれます。
先ほども出した「ミノタウロキア」には左下にサインが書いてあるの見えるでしょうか?
ピカソが亡くなる4年前にベルクグリューンはサインを書いてもらいました。
「わが友ベルグリューンに」と。
名前の綴りは間違っているという微笑ましいエピソード付きです。
「ミノタウロキア」はエッチングといって、すごく簡単に言うと銅板を酸で腐食させる作用を使って絵を描き、それを刷った版画です。
画像を見ていても伝わらないと思いますが、黒と白の線が集まりこんな豊かな表現ができるんだ・・・と魅入ってしまう作品です。
とても繊細な美しい作品です。
まとめ
展覧会はピカソだけでなく、クレー、マティス、ジャコメッティ、セザンヌ、ブラックの作品も展示されていて、20世紀のアートの熱を感じられるのですが、今回はピカソだけを取り上げました。
ピカソがどんどんと挑戦を続け新たな作品を発表していくとき、ベルクグリューンも同様に歳を取っても初めの頃と変わらずピカソを追い続けたそうです。
2人の人物が作り上げた本気のコレクションなんだなぁ。情熱を持ち続けるって素敵だな。
だからこそ、行ってよかった!!と心から思える展覧会だったのだなと感じています。
冒頭に書いたように、私が大人ももっと新しいことに挑戦していこうよ!と感じたことが少しは伝わったのなら嬉しいです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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