🪴設立年度:2021
🏢本社:カリフォルニア
🚀ラウンド:シード
💵累計調達額:5.1M$
👥主要投資家:a16z, 有名アーティスト
サービス
web3版音楽制作プラットフォーム
【課題】
音楽業界にもデジタル化の波がきていて、Tiktokで曲を介したコラボがよく見られるようになりました。では今の音楽業界は他のクリエイターが作成した音源を使いやすい仕組みになっているのでしょうか?残念ながら良い環境とは言い難く、音源を使うためには法的な手続きや使用料を払う必要があるためコラボレーションの促進を阻害している現状があります。 Arpeggiはレーベルの後ろ盾もなく力のないアーティストがコラボレーションする際の課題として
未発表の曲を共有して信頼を得る
他のアーティストの曲をサンプリングやリミックス、参照するために海賊行為や支払いをする
不透明な権利を登録する
法的認可を受ける
を行う必要があると指摘しています。
【解決策】
Arpeggiはこの問題を解決するために、クリエイターが音楽制作から誰でも使える形のNFTとして音源を公開できるプラットフォームを公開しています。
主なサービスとして
ARP Protocol上に構築されたDAWの提供
作成された音源をフルオンチェーンCC0NFTとして作成する機能の提供
の二つがあります。以下具体的に解説します。
ARP Protocol上に構築されたDAWの提供
ARP Protocol(Audio Relationship Protocol)と呼ばれる独自の分散型音源ライブラリーに保存されている音源を自由にサンプリング、リミックスして曲を作成できるDAWを無料で提供しています。 DAWとはdigital audio workstationの略称であり,
録音・編集・打ち込み・ミキシングなどといった音楽制作の一連の作業をソフト化したもの
(https://wellen.jp/compose/daw-meaning/より)
ARP自体はPolygonやMunbai(テストネット)を基盤として構築されていて
The Audio Relationship Protocol (ARP) is a composable on-chain registry for music primitives.
(https://github.com/Arpeggi-Labs/contractsより)
音源をIPFSなどの分散型ストレージに保存するのではなく、NFT内に保存する仕組みをとっています。フルオンチェーンNFTは得てしてストレージコストが高くなりがちです。しかし彼らはデジタル音楽に関わってきた技術者と組むことで、品質を損なうことなく保存するストレージをより少なく出来ているようです。
音源をフルオンチェーンCC0NFTとして作成する機能の提供
DAWを通じて作成された音源はCC0NFTとしてARP Protocol内のライブラリーに保存されます。 CC0NFTとは著作権を放棄したNFTのことです。 CCとはCCライセンスをさしクリエイティブ・コモンズが提供している認証ルールです。
CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルール で、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という
意思表示をするためのツール
(https://creativecommons.jp/licenses/#licensesより**)**
CC0とは右側のPD(Public Domain)を指します。 つまりARP Protocolに保存された音源は誰でもサンプリング、リミックスができるものとして使用することができます。音源が誰でも使用できることによって収益化や企業としての資金調達が難しくなりますが、二次創作が容易になります。詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
CC0 NFTとは?CC0 NFTの特徴やメリット・デメリットを徹底解説
目指す未来
音楽とNFTの組み合わせは曲の所有権の部分に焦点を当てたマーケットプレイスが主な活用事例として挙げられます。しかしArpeggiは所有ではなく作成の部分に焦点を当てています。
many web3 music platforms focus on changing the way we own music, Arpeggi changes the way we create music
音源を誰でも使用できることによって
Founders Evan Dhillon, Kyle Dhillon and James Pastan believe that this setup will encourage a new type of “remix culture” to permeate through the music industry,
Tiktokに代表されるような新しいリミックス文化を創造したいようです。
創業チーム
ArpeggiはJames PastanとEvan and KyleのDhillon兄弟のよって創業されました。
Evan Dhillon
Co-Founder | CEO
いくつかの企業でインターンをしたのちそのままWorkdayに入社します。 Workdayはエンタープライズ向けのクラウド型人事・財務管理アプリケーションを提供している企業です。 インターン、正社員として一年半ほど働いたあとArpeggiを共同創業しています。
Kyle Dhillon
Co-Founder | CTO
Googleでインターンを行い、そのまま入社します。5年ほど勤務したのちArpeggiを共同創業しています。
James Pastan
Co-Founder
BCGに入社し9ヶ月ほど働いたのち、インターン経験のあるMongoDBに入社します。MongoDBはDBMS(Database Management System)を提供する企業です。
5ヶ月ほど働いた後web3のグロースリーダーを育成するコミュニテーであるSafaryで
バッチ一期生として学びます。その後Arpeggiを共同創業します。
感想
音楽のweb3における民主化とは所有の面に注目が集まりがちでしたが、クリエイター視点からのweb3化を目指している面白いアイデアだと思いました。CC0NFTとして音源を保存しているためコラボレーションの促進には貢献することが予想できますが、マネタイズの部分をどう作っていくのかa16zから調達している企業でもあり注目です。
あくまで私の個人的なリサーチであり、誤った情報を含む場合があります。ご了承ください。