[Announcement] CDPパートナーを募集します📣/ Call for CDP Partners!
サーキュラーエコノミー/デザインに関心がある企業、自治体、教育研究機関、NPO、個人のデザイナーや実践者の皆さん、ともにサーキュラーデザインを通じた社会変革にチャレンジしませんか? Are you a designer, researcher, or practitioner in circular design? Become a CDP partner!
*We encourage anyone who is not proficient in the language in which the following text is written to use translation services and apps that are available on the Internet such as DeepL and Google Translate.
「学術・企業・地域をつなげ、システム移行を前提としたサーキュラーデザインを育み実践するためのネットワーク」である Circular Design Praxis(CDP)は、ともに領域・セクター横断的なサーキュラーデザインの可能性を探索し、社会実践を促進する「CDP パートナー」を募集します!
Profitの時代からBenefitの時代へ
CDPが目指す「システム移行」とは、大量搾取・大量生産・大量消費・大量廃棄をベースにした線形経済から脱却し、資源・製品の価値の最大化、消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指す再生的な循環経済(regenerative circular economy)を実現するプロセスだけではなく、このプロセスが前提とする世界観/価値観の更新を包含します。つまり、これまでの企業が個別に利益を追求するプロフィット主義から、 あらゆるステイクホルダーが協働し、共に価値を紡ぐベネフィット主義への移行 <transition>です。
CDP では、この移行を実現するうえで「place-based なアプローチ」を軸にした「多元的なコレクティブの形成」、そして「地域・セクターを超えた知の共有」が肝要になると考えています。なぜ place から始めるのか。それは、リジェネラティブ・デザインの大家であるダニエル・ウォール氏も指摘するように、地球温暖化問題や資源枯渇といった厄介な問題 (wicked problems) が抽象的な一般解の次元では解けないからです。
We need to design from the potential of people and place… Only when we reduce wicked problems to the specificity of a unique region, unique people, unique companies, and a unique ecosystem, do they turn into wicked potential. (By Dr. Daniel Christian Wahl, during a conversation with Pooran Desai, In conversation: Pooran Desai & Dr Daniel Chris Wahl)
Place = 地域ごとに存在する人や企業、行政、インフラストラクチャー、風土や文化、生物生態系といった資源やステイクホルダーによって、その場所で可能なサーキュラーデザインは異なります。この多様性と当事者性の内にこそ厄介な問題を解く鍵(ウォール氏の言葉を借りれば「wicked potential = 素晴らしい発展性」)があると私たちは考えています。(※CDPの place に関する考え方については、このニュースレターの末尾に「Place が持つ(少なくとも)二つの側面」を付載しましたので、関心をお持ちの方はそちらをご覧ください。)
CDPでは、こうした問題意識や価値観に共感いただける企業・自治体・教育研究機関、あるいは個人のデザイナーや研究者、実践者にぜひご参画いただきたいと考えていますので、ご興味・ご関心がありましたらぜひお声がけください!
それでは本ネットワークへの参画をご検討いただくための材料として、CDPの中期目標や今年度実施予定のプログラム、具体的な参加方法などについてご案内します。
CDPの三カ年目標と主な活動内容
CDPでは今年の立ち上げから3年間をかけて、「システム移行を前提としたサーキュラーデザインを実践する国内外の組織や団体との関係を構築し、その土壌を日本国内につくる」ことを目標に、下記の活動に取り組みたいと考えています。
ナレッジシェアリングやネットワーキングを目的とした、サーキュラーデザインに関するカンファレンスや研究会、ワークショップやフィールドワーク(以下プログラム)の企画・実施
Place-based な実践に向けた分科会=ワーキンググループの立ち上げと運営支援
ニュースレターやSNSを活用した国内外に向けた発信とネットワーク作り
私たちはこの3年を、超セクター的・超領域的なサーキュラーデザインの実践に資する組織あるいは体制のあり方を探求する期間と位置付けています。つまり、上記の各種プログラムおよびワーキンググループの活動を通して培われる学びや気づきをもとに、3年後の社会の変化も踏まえながら、組織のあり方や形態を更新するための実験期間ということになります。
この取り組みは一者/社でできることではありませんので、ぜひCDPパートナーの皆さんと協働・共創しながら探求したいと思います。
2023年の活動予定
今年は下記の2つのプログラムを実施する予定です。
1. CDPシンポジウム2023
日時:8月26日(土), 27日(日)【確定】
場所:京都工芸繊維大学 D-Lab内
昨年の京都カンファレンスに引き続き、システム移行を前提としたサーキュラーデザインについて、環境評価、材料開発、社会システム、人材育成、制度設計など、多様な視点を持った専門家や実践者をお呼びして議論を深める2日間です。
2. Circular Design Week in 鹿児島
日時:11月27日-12月3日【予定】
場所:鹿児島県の市町村(調整中の候補地:霧島市、大崎町、日置市、薩摩川内市、南九州市、鹿児島市など)
サーキュラーな取り組みが数多く行われている鹿児島に赴き、サーキュラーデザインが実践されている現場をフィールドワークしながら、place-based なアプローチについて解像度を高める7日間。海外のデザイナーやサーキュラーデザインの実践者も招聘する予定です。
このほか、パートナー企業向けに、place-based なサーキュラーデザインを体感していただくことを目的としたワークショップを企画・開発中です。こちらにつきましても、詳細が詰まり次第、順次アナウンスしたいと思います。
ワーキンググループ(WG)について
WG はサーキュラーデザインに関連するテーマや課題を、CDP の企業会員とパートナーが主体となり探索する場です。各 WG のテーマ設定ならびにコミュニティ運営は、CDP 事務局との連携のもと、パートナー企業が行います。(※各 WG のテーマの決め方については、下記の「CDP への参加方法」をご確認ください。)
なお、各 WG はセクターや領域を越えて複数の企業会員ならびに行政・教育研究機関パートナーが参加できるオープン方式を採用します。(※テーマによっては、外部デザイナーや研究者の協力を要請することも想定しています。また、参加者間の公平を期すために、WG の活動の中で生成された知的財産権は参加者が等しい条件で利用できるものとします。)
📅ワーキンググループ初年度スケジュール案
参加方法とベネフィット
最後に、主に企業の方向けとなりますが、CDP のパートナー企業としての参加方法とベネフィットをご案内します。参加パターンには「Gold会員(仮)」と「Green会員(仮)」の二つを用意しています。
この二つの参加パターンの最大の違いは、WG における役割です。Gold 会員(仮)はそれぞれの WG で取り組むテーマを決定する権利を持ち、CDP の運営に主体的に関われます。Green 会員(仮)は Gold 会員(仮)が立ち上げる WG に共創メンバーとして参加することができます。(※参加費ならびに WG 以外のベネフィットに関しては上のスライドを拡大してご確認ください。)
自治体パートナー・教育研究機関パートナーも併せて募集します📣
企業パートナーのほか、サーキュラーデザインの実践やフィールドリサーチを実施する際のフィールドをご提供いただける自治体パートナーや、プロジェクトの企画・運営、実践後の評価システムの構築、ガイドブックやツールキットなどのアウトプット制作といった各プロセスを、専門性に合わせてご支援いただける教育研究機関パートナーも募集しています。CDPパートナーとしてご参画いただくメリットは(一部ですが)下記が想定されます:
サーキュラーデザインの実践地として国内外に発信ができる
一組織では成し得ないサーキュラーデザインの協働パートナーらと出会える
専門分野の研究を実践・実装するフィールドに出会う機会が得られる
新興研究領域やサーキュラーデザイン、トランジションデザインなどに関して業種を超えた知見を共有し、学び合う機会が得られる…などなど
ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらお気軽にお声がけください。
なお、このニュースレターとは別に、『CDPメンバーシップ説明資料 2023年用』をご用意していますので、もし送付をご希望でしたら次のメールアドレスにご連絡の上、お申し付けください→ cdp@re-public.jp
このほか、CDPの方向性や今年度の活動内容についてご質問やご不明点などございましたら、コメント欄や上のメールアドレスにお寄せください。皆様からのご連絡をお待ちしております!
おまけ:Place の(少なくとも)二つの側面
前述の通り、CDP では place-based なアプローチに重きを置いています。一方で、この place という概念は少々多義的で、日本語に訳そうとすると文脈によって「地域」や「場」、「土地」など複数の訳し方が可能です。では、CDP で「place-based なアプローチ」というとき、何を意味しているのでしょうか。私たちは place には(少なくとも)下記の二つの側面があると考えています。
1. ミッション志向型イノベーションの現場としての place =「地域」「場」
一つ目の側面の根底には、マリアナ・マッツカート氏が提唱し、スウェーデン政府のイノベーション庁 Vinnova がローカルで実践しているミッション志向型イノベーション(mission-oriented innovation)の考え方があります。Vinnova の活動をまとまたレポートDesigning Missions: Mission-oriented innovation in Sweden— A practice guide by Vinnova* によると、特定の place(地域 or 場)にスコープを限定することで、複雑なシステムを一定の視点や分野、問題や解決策に還元することなく、その複雑性は留保したまま、具体的なデザイン対象として取り扱うことが可能になります。別の言い方をすれば、グローバル/抽象的な次元で語られがちな厄介な問題(wicked problems)をローカル/具体的な次元に落とし込むことによって、地域ごとに存在する複雑なバリューチェーンや多様な文化、各種組織・団体や生態系といった具体的な資源やステークホルダーが顕在化し、 厄介な問題を解くための具体的なアクションにつながるということ。CDP にとって place は、ストラテジックデザインの有意義な実践領域だといえます。
2. 多元的な営みが育まれる共同体としての place =「土地」
20世紀以降のデザインは、西洋近代の「自然/文化」「主体/客体」「精神/身体」といった二項対立的世界観に基づく自然観、つまり「能動的な人間に対して、自然は受動的なものであり、支配/搾取の対象である」という考え方/関係性をもとに、「未来の(可能性の)解体(defuturing)」を加速させてきました。Placeの二つ目の側面は、上記の西洋近代的な自然観に代替する人間と非人間の関係性を見出す可能性の在処としての「土地」です。日本ひいてはアジアパシフィック地域に目を向けると、各地の風土や文化の基底には、全ての生命体は相互依存的につながり合っているというホリスティックで互恵的な関係構造が伺えます。CDPでは、土地ごとに立ちのぼるこうした独自の関係構造と世界観のうちに、アジアパシフィック地域ならではのサーキュラーデザインを見出したいと考えています。
以上のことを、このニュースレターの冒頭で示したCDPの方向性も踏まえて整理すると、CDP が志向するサーキュラーデザインは、線形経済から循環経済への移行、さらにはこの移行を下支えする世界観/価値観の移行をデザイン対象とするトランジションデザインであり、かつ多元世界の観点からplace = 地域をシステム的に捉え、具体的な意思決定とアクションにつなげるストラテジックデザインだと私たちは考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!改めてのご案内になりますが、CDPパートナーに関して興味・関心、あるいはご質問をお持ちの方はお気軽に cdp@re-public.jp にご連絡ください。
それでは8月のシンポジウム、あるいは今後立ち上がる(ことが期待される) place-based なプロジェクトでご一緒できるのを楽しみにしています!
CDP事務局