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2023年2月16日、胡錦矗(フー・ジンチュー)先生が逝去した。
1970年代、第1回全国ジャイアントパンダ数量調査のリーダーになって以来、中国ジャイアントパンダ研究の第一線で活躍された方である。
2017年に掲載されたあるインタビューの中で、野生パンダと飼育パンダ個体群双方の問題点を忖度なく指摘した。
事情に詳しい中国のパンダファンは、先生がリタイアした後だからこそ発言できたのだろうと言う。
ここではその多様な論点の中から特に次の2点を取り上げ、補足と考察を加えたい。特に1は日本とも関係が深い。
パンダの飼育はパンダを保護するためではなかった(前号)
飼育パンダの繁殖能力は衰え続ける(本号)
◆飼育パンダの繁殖能力の低下◆飼育個体群の衰退◆その後も捕獲された野生パンダたち◆「飼育パンダの遺伝子改良」のために◆ジャイアントパンダの「二つの世界」
飼育パンダの繁殖能力の低下
「飼育パンダと野生パンダは、生きているのを見る限りは目立った違いはありません。ただ実際にはすでに大きな違いがあります」
そう言って胡錦矗先生が例に挙げたのは、北京動物園だ。同園はかつて最大の繁殖施設だったが、やがて飼育下ではパンダの繁殖能力は世代を経るごとに低下することが明らかに。
そのため現在では個体群を維持できず、他の繁殖基地と交換せざるを得ないという。
飼育パンダは野生パンダのように繁殖方法を学習する機会がないために、発情期に雄と雌を同居させてもケンカするだけだ。
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