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このシリーズのまえがきはこちらをどうぞ。
子パンダと向き合って
李鳳さん。中国パンダ保護研究センター神樹坪基地で勤続16年のベテラン。
※動画は全部で5つあります。最初の動画は仕事の様子(下の写真はその一部)、他はインタビューです。
李さんの実家は、伝説的な「五一キャンプ」*の存在する山のふもとにあった。幼い頃から山でパンダの食べ残しや糞を見かけ、パンダに関する話を聞いて育ったという。*1978年5月、臥龍自然保護区に設置された中国初の野生ジャイアントパンダ観測施設
2005年、激しい競争と厳しい審査を経て同センターに採用。パンダの保育室や幼稚園が担当だ。
前と比べてどのくらい重くなったか、いつも飲むミルクの量に違いはないか、いつも活発な子がどうして今日はずっと寝ているのか…。
常にパンダの発育状況に気を配り、体力的に厳しくはないが心理的負担の大きい仕事である。
例えば、哺乳瓶のちくびを選ぶのが一苦労という。選ぶだけでなく、穴を自分で作る。街では売っていないのだという。おそらく穴の開いていないちくびを特注して、自分たちで適切なサイズの穴を開ける(それを何種類も作る)という意味だろう。そして飲む様子を観察して、口の周りに無駄がないか、ミルクがこぼれていないか注意する。
パンダも人見知りをする。あるパンダの飼育を前任者から引き継いだ時、その子はなかなかなつかず、ミルクを飲もうともしなかった。
私は辛抱強く、その子に話しかけました。“どうしたの? なぜ飲まないの? 怖がらなくていいよ”と。ゆっくりと近づきました。一日経って、その子はだんだん私に近づけるようになりました。
ふと見ると、その子の目に涙が浮かんでいるようだったのをはっきり覚えているという。
子パンダたちは自分の子どものようでもあり、実際に自分の子どもよりも世話をしている。特にこの仕事は夏が(パンダの出産のため)繁忙期だ。夫もパンダ飼育員のため、夏休みに子どもと一緒に行事に参加できなかったことが心残りだという。
Link: 我是熊猫人(李凤)中国大熊猫保护研究中心 2021/7/7
2019年生まれの「お団子」たち
実は李鳳さんは、次のドキュメンタリーにも出演されている(おそらくナレーションも担当)。
『春に会う ジャイアントパンダ』(タイトル仮訳)
これは中国で最もCOVID-19の影響が広がり、神樹坪基地も閉園していた頃に撮影された(放送は昨年4月)。※神樹坪基地の内容は1分55秒以降。それ以前は雌パンダの野外導入の内容で、別の機会に紹介したい。
当時7ヶ月くらいの、2019年生まれの子パンダたちを世話している。ヘアスタイルが今と違ってボブの飼育員が李鳳さん。やんちゃな子パンダたちと奮闘する様子が微笑ましい。
ちりとりの上に陣取って動かなかったり。
飲み終わってもミルクボウルを離さなかったり。
車の下に隠れていたり。
私たちはこの子たちを“小団子”(お団子)と呼びます。
6,7ヶ月のお団子たちは好奇心が一番強いです。今年の春はお団子たちにとって生まれてはじめての春。敷地内の草や木の枝が芽吹き、お団子たちには乳歯が生え始めます。かじるのが好きで、やめません。
私たちは毎日お団子たちと忙しくも、楽しいです。今年はウィルスのために閉園しました。こんなにかわいいお団子たちがしばらくみなさんにお会いできないのは、本当に残念です。
実はこの放送の直後に、神樹坪基地で2019年生まれの子パンダの1頭が遊具による事故で死亡した。李鳳さんはじめ、関係者の方々の悲しみはいかばかりだったかと思う。それを思い出して少し複雑な気持ちにもなるものの、これは李鳳さんの優しいお人柄が感じられる、好きなドキュメンタリーである。
Link: 《看春天·大熊猫》来源:央视网 2020年04月14日 00:19
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