UNCOVERED FUND最新ニュース
皆様、こんにちは。UNCOVERED FUNDです。今回のメールマガジンでは、先月アフリカで初開催となったAfrica Climate Summitに焦点をあて、アフリカの持続可能な未来に向けた動きと可能性について深く探ります。
目次
1. Africa Climate Summitの開催
2. アフリカ市場調査プログラム DeepDiveCamp in Africa
Africa Climate Summit開催
1. Africa Climate Summitについて
9月4日から6日までの3日間、ケニアの首都ナイロビでAfrica Climate Summitが開催されました。アフリカ初の開催となったこの歴史的なサミットはアフリカ大陸の気候変動対策に焦点をあて、地域の持続可能性、環境保護、エネルギー変革に向けた重要な議論が行われました。参加者は20カ国以上から集まり、各国首脳、国連代表など多岐にわたるステークホルダーが一堂に会し、アフリカ大陸の持続可能な未来を模索しました。
このサミットでは、「アフリカと世界の為のグリーン成長と気候資金の解決策の推進」をテーマに、気候変動への適応、温室効果ガスの削減、および環境保全に関する多くの議論が行われ、具体的な行動計画や国際協力の枠組みが模索されました。最終日には、「ナイロビ宣言」が採択され、資金調達や技術移転、政策協力などの重要性が強調されました。また、多くの国と国際組織がアフリカの気候対策を支援する意向を示し、具体的な資金調達や技術提供の約束が交わされました。
2. サミットが開催された背景
アフリカは温室効果ガスの排出量は全世界の2~3%に過ぎませんが、気候変動の影響を最も受ける地域の一つとされています。近年の環境変化は、サハラ砂漠の拡大、水資源の枯渇、食糧生産の低下といった深刻な問題をもたらし、人々の生活に大きな影響を与えています。
2022年の国連の報告書によると、アフリカが気候変動のために年間70億から150億ドルの損失を被っていると推定されており、この問題は急速に悪化しています。一方で気候変動の影響を緩和するためには、アフリカ諸国は年間平均1,240億ドルを調達する必要がありますが、これまでのところ、その額の一部である280億ドルしか受け取っていないという問題があります。このことから資金調達が低いことに対する懸念が高まり、サミットが気候変動資金調達の転換点となるように強いプレッシャーがかかっていました。
ケニアのウィリアム・ルト大統領は、「私たちが今直面している気候危機の原因となった国々、すなわち排出国に責任を持たせる必要がある。」と述べており、
これらの背景のもと、アフリカ各国は自らの未来を守るため、そして地域全体の持続可能な発展を図るため、Africa Climate Summitの開催に踏み切りました。
また、サミットの主催者によれば、アフリカと世界のための気候にプラスの成長と金融の解決策を提供し、11月30日のアラブ首長国連邦でのCOP28サミットに向けて団結した立場を示すことも目的にあるとされています。
いずれにせよ、今回のサミットは、アフリカ大陸の気候変動対策を促進し、国際社会との連携を強化する重要な機会となりました。
出典:ALJAZEERA
3.ナイロビ宣言の内容
今回の会議では、欧米が開催準備から深く関与したことで、アフリカ側が求める気候変動に伴う天災などによる損失補償の議論よりも、再生可能エネルギーや水素などのプロジェクトにかかるファイナンスの増加や、排出権市場の活性化が議論の中心となりました。
アフリカは歴史的に地球温暖化の責任を負っているわけではないが、その影響の矢面に立たされていること。一方、アフリカには気候変動に対する世界的な解決策となる可能性と野心がある点が強調され、最終日に発表されたナイロビ宣言では地球温暖化への対応を強化するための具体的な方針と行動計画が示されました。
注目すべき内容はまず、国際金融取引税や排出税を含む世界的な税制の導入を求めた点です。アフリカ各国はこれらの税を気候変動対策の取組の原資にする狙いがあります。
背景に、二酸化炭素排出の行為に対して、世界全体で共通の税をかけることで、CO2排出の抑制を促すことに加え、莫大なお金がかかる気候変動の対策の為に、CO2排出の少ないアフリカではなく、排出の多い国から税で原資を集めるべきというアフリカ各国の考えが表れています。
また税制の導入以外にも、気候変動対策へのファイナンスの量と質の両面での増加、アフリカの債務問題の解決やファイナンスコストの削減の他、国際開発金融機関に対し、貧困国への譲許的融資拡大を要請、国際通貨基金(IMF)の特別引出権メカニズムの改善が必要であるとの考えを示しています。
一方具体的な取組実施について宣言した内容には、経済発展計画を、産業活動のための公正なエネルギー転換や再生可能エネルギーの生成や、気候に配慮した再生的な農業の実践、そして自然や生物多様性の保護と強化を含む気候プラスの成長に集中させること。2030年までに年間少なくとも300億ドルを動員することを目指してアフリカの水投資のギャップを埋めるためのアフリカ投資プログラム(AIP)の取り組みをサポートすることが含まれており、政府としても気候変動対策へ力を入れていくことが改めて強調されています。
これらナイロビ宣言の内容は、11月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催される第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)以降のアフリカ共通の考えであることも示されました。
また、Africa Climate Summitを2年に1回開催することも宣言されています。
4.今後の動向
サミットでは、2030年までにアフリカの炭素クレジット発行を19倍に拡大する目標の達成に向け、参加国が総額数億ドルの拠出を表明されました。各国からの支援策が続々と発表されており、アフリカ地域の気候変動対策が一段と進展することが期待されています。
まず、再生可能エネルギーの分野で大きな動きが見られました。アラブ首長国連邦(UAE)は、2023年11月末から開催が予定されているCOP28の議長国として、クリーンエネルギープロジェクトの推進に45億ドルの支援を表明。この巨額の支援には、マスダールやアブダビ開発基金、輸出信用機関、アメア・パワーなどが資金を拠出します。また、アフリカ開発銀行の投資プラットフォーム「アフリカ50」が戦略的パートナーとしてプロジェクト選定に協力するとのこと。
一方、EUは「グローバル・ゲートウェイ」の取り組みの一部として、ケニアのグリーン水素戦略の推進に1,200万ユーロの無償資金協力を行うことを発表。この取り組みは、グリーン水素の国内市場の開発や輸出を促進する目的で行われます。加えて、ドイツもグリーン水素を利用した肥料プラントの建設を支援する計画を打ち出しています。
米国からは、アフリカにおける食料安全保障の強化と気候変動対応のために、総額4,500万ドルの支援が行われることが発表されました。具体的には、コールドチェーンの整備や気候変動耐性の高い農業技術、ポストハーベスト技術の革新などに投資する方針です。さらに、米国はケニアの排出権市場の開発や関連する法的枠組みの整備に対して140万ドルの支援も発表しています。
これらの取り組みは、アフリカの気候変動対策を大きく前進させる可能性があり、アフリカ諸国は気候変動対策と持続可能な発展を一体的に進める方向性が強まると予想されます。
そんな気候変動対策に盛り上がりを見せるアフリカですが、世界中で話題となっているカーボンクレジットについて、アフリカの市場はどのようになっているのか?次回のメールマガジンで深掘りしていきます。
アフリカ市場調査プログラム DeepDiveCamp in Africa
日本の事業会社やVC/投資家の方々を連れて、アフリカ現地の市場視察やスタートアップを訪ね、アフリカの最前線で起きているイノベーションやその現場、世界に残された大きな課題を体感し、新たなビジネスへのヒントを得ることを目的としたプログラムを開催しました!(様子を動画にまとめてますのでご覧下さい。)
今回は8月20日~25日の期間にケニアとエジプトの2か国で、計17社のスタートアップとその顧客先、そしてNGO団体を訪れました。
(エジプトで大型物流のDXを実現するTrella社)
(ケニアでEVバイクの製造・販売を行うRoam社)
(農家向けクリーンエネルギーを使った灌漑設備を提供するSunCulture社)
アフリカで急成長するスタートアップの経営陣と事業内容や戦略についての意見交換を行い、課題を抱える現場訪問や顧客へのヒアリング等を通じて、新たなビジネスへのヒントを得た、アフリカへの価値観が大きく変わったと参加者からもお声をいただいております。
また先月9月25日に本プログラムの報告会を株式会社デジタルホールディングス様の会場で行い、現地とオンライン参加含め計101名の方にご参加いただきました!!
ツアーの中身や、訪れたスタートアップの紹介に加え、実際に参加いただいた方々とのトークセッションを行い、現地で感じた思いや気づきなどを共有いただきました。
そして、大好評につき、2024年2月にケニア・エジプトでDeepDiveCamp in Africa #2を開催します!!
『百聞は一見に如かず』、是非この機会にアフリカの現場を体感して下さい!!!
ご興味のある方は、是非お問合せお待ちしております。
お問合せ:https://uncoveredfund.com/EN/contact
今月のニュースは以上となります。
次回はアフリカのカーボンクレジット市場についての記事をご案内する予定です!
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UNCOVERED FUNDについて
UNCOVERED FUNDはアフリカ大陸はじめ新興国の産業創りをリードするベンチャーキャピタルです。2050年に向けて新興国の人口増加と経済成長はここから急加速し、世界経済の中で重要な役割を担っていくことは間違いありません。特にその中でもラストフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸は、2050年には世界人口の25%を占める25億人の巨大市場になります。その成長を牽引する最先端のデジタル技術を活用し、既存の枠組みに捉われることなく産業・社会基盤を一から構築していく新興国には、 日本が学ぶべきイノベーションの発想が多く存在します。UNCOVERED FUNDは、まだ十分な起業家支援が行き届いていない『アンカバード(un covered)』な世界で 未開の才能を発掘し、事業を作り、雇用を生み出し、世界100億人が共存する未来へ大きな価値を共創します。
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